特集 これからの地域保健を語ろう—保健所法改定を機に
[地域保健法をめぐる状況分析]
高齢社会と地域保健—その深遠な関係
前田 秀雄
1
1東京都東久留米保健所
pp.932-936
発行日 1994年11月25日
Published Date 1994/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901035
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はじめに
地域保健法は,21世紀を展望した総合的な地域保健の見直しをかけ声に,1994年6月に成立した。しかし,その言葉を素直に受け入れることができないのは,圧倒的なスピードで突き進む高齢化社会へ向けた日本の社会全体の対応へと,地域保健が主体性なしに巻き込まれて行っているという印象を拭い得ないからである。すなわち,地域保健法の改正は,「活力ある高齢化社会の実現」がキーワードになっているといっても過言ではない。
つまり,現在の保健医療福祉という社会サービスを取り巻く状況は,これまでの北欧社会型の福祉国家を目標とした姿勢(幻想にすぎなかったかもしれないが)から決別し,高齢化社会にあっても産業社会の活力の低下を阻止するための国家体制の基盤整備へと転換したという印象をうける。つまり,以下の事態を阻止することである。
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