連載 保健婦日記・5
在宅ホスピスをめざして(5)—夫婦の絆
馬庭 恭子
1
1広島総合病院
pp.162-163
発行日 1994年2月10日
Published Date 1994/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900882
- 有料閲覧
- 文献概要
窓から山茶花の花が見える。二つベッドを並べて、二人が窓越しにそれを見ている。最期までこの家で一緒に過ごしたいという七十四歳の夫、三郎さん。七十二歳の妻、雪江さん。年金生活の二人暮らしだ。雪江さんは胸椎に腫瘍ができて、胸から下が麻痺して寝たきり。三郎さんは右半身が不自由だ。雪江さんがまだ歩ける頃は、三郎さんの身の回りの世話を、痛みをこらえてやっていた。三郎さんも妻に頼りきっていた。しかし、雪江さんが歩けなくなると、途端に三郎さんが積極的に動き出した。
「えらく、急に元気がでたね。不思議じゃね」
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.