特集 保健医療情報のシステム化とその背景
日本における保健と医療の流れ
中原 俊隆
1
1国立公衆衛生院公衆衛生行政学部
pp.7-12
発行日 1994年1月10日
Published Date 1994/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900852
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はじめに
わが国における保健および医療の体系は,戦後まもなくつくられた。その体系が,人口の高齢化を軸に大きく変わりつつあることは,医療法の改正や地域保健法制定の動きなどをみれば,おのずと明らかではあるが,その底流には,福祉国家として発展している国々と共通した問題も多くみられる一方,日本の保健医療の発展過程などから生ずるわが国独自の問題もみられる。また,保健医療の分野にも情報化の波はすでに押し寄せてきているが,保健医療情報のシステム化は,期待の割には進んでいないといっても過言ではないように思われる。
わが国の保健医療の歴史については,数多くの著作が公表されており,成書も多いので,詳細はそれらを見ていただくこととし,本稿では,現在進められている保健医療行政の改革の流れの理解に資するという観点から,私見を交えつつわが国の保健および医療政策の変遷を中央—地方関係を軸に概観し,あわせて保健医療情報のシステム化の状況についてもふれることとしたい。
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