特別寄稿
グローバル化は日本の保健医療をどう変えるか・1
宮城島 一明
1
,
中原 俊隆
1
1京都大学大学院医学研究科健康政策管理学
pp.596-600
発行日 2000年7月1日
Published Date 2000/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903850
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グローバル化とは
グローバル化またはグローバリゼーションという言葉が新聞やテレビに頻繁に登場するようになって久しい.しかし,この用語は,常に正しく理解されているとはいえない.グローバル化とは,一般に,「情報技術革命によってもたらされた時間と距離の短縮に起因する経済・政治・文化・思想などを含む人間活動の多次元的かつ高速な全地球的流れ」であると考えられている(L.C.Chen,1998).その意味で,グローバル化は近年に注目を集めるようになった特徴的現象を示す概念である.したがって,単に街を歩いている外国人が増えるとか,学校で皆が英語を学ぶとかという表層的な意味で安易に使われる「国際化」という言葉とは明瞭に区別されるべきである.
グローバル化という概念を巡っては別の誤解もしばしば見られる.それは,グローバル化があたかも自由主義市場経済による世界の席捲,あるいは,米国系の大企業による世界経済の支配と同義に用いられ,かつ一種の価値判断を含んで使われる場合である.さらに転じて,特定の企業が海外に進出すべきかどうかという政策上の選択肢についてグローバル化という言葉を使う人々もいる.
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