特別寄稿
グローバル化は日本の保健医療をどう変えるか・3
宮城島 一明
1
,
中原 俊隆
1
1京都大学大学院医学研究科健康政策管理学
pp.780-784
発行日 2000年9月1日
Published Date 2000/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541903085
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(59巻8号より続く)
基幹産業としての保健医療
いわゆる先進工業国の経済において,第三次産業(サービス業)が大きなシェアを占めるようになって久しい.日本もその例外ではない.特に,製造業の海外生産への傾斜が依然として強まる傾向にあることから,中長期的に見て,日本経済の牽引役としてサービス産業が果たす役割はますます重要になると考えられる.
無論,保健医療以外の分野でも財(モノ)やサービスの生産・供給が行われなくては,一国の経済は立ち行かない.しかしながら,サービス業としての保健医療は,その国内総生産に占める大きさゆえに,単に傷病に対する保護を提供することによって安心して働ける社会を作ることにとどまらず,わが国の経済発展に積極的に寄与することが期待される.つまり,その舵取りいかんでは,日本経済を成長させる要因になる可能性もあれば,その逆の状況となる危険性も大いにあり得るということを意味する.
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