連載 WHO看護開発協力センターニュース・5
老人看護研究優先度調査の結果—WHOプライマリーヘルスケア看護開発協力センターにおけるデルファイスタディの結果(日本国内編)
南 裕子
1
,
萱間 真美
2
1兵庫県立看護大学
2聖路加看護大学
pp.666-667
発行日 1993年8月10日
Published Date 1993/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900739
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はじめに
WPRO(西太平洋地区)には韓国・延世大学,フィリピン・フィリピン大学,オーストラリア・キュンバーランドヘルスサイエンス大学,および日本・聖路加看護大学の計4か所のWHO看護開発協力センターがある。これらの国々,特に韓国,日本,フィリピンは家族システムなど文化的な共通点も多く,かつ同時に急速な高齢化と西洋化が進んだ国々である。現在,わが国における最も大きな問題は人口の高齢化である。高齢者の健康と生活の質を社会全体でどのように支えてゆくかについて,介護を含むケア体制の新たな確立を保健・医療・福祉の連携のもとに考えていくことが必要である。この問題は,わが国固有の問題ではなく,先にあげた各国にも共通の問題となっている。
そこで,地域における老人のクオリティ・オブ・ライフ向上のための看護介入を考える前提として,老人看護の領域でどのような研究の蓄積が必要であるかについて,デルファイ法を用いた研究優先度の検討を国際的に行い,将来国際実践研究を行おうという提案が1991年5月ジュネーブで開かれたWPROの第2回会議の席上なされ,当センターが事務局として研究方法の枠組みを提供することとなった。各国で共通の方法を用いて調査を行い,その結果を持ち寄って比較・検討し,老人看護に関する研究のテーマ選定を行い,次の段階を模索する計画である。今回の報告では,このうち日本国内の調査に関して報告する。
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