特集 保健所での精神障害者デイケア
デイケアの可能性と限界
鳥海 房枝
1
1東京都北区衛生部
pp.601-606
発行日 1993年8月10日
Published Date 1993/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900731
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はじめに
昭和40年に改正された「精神衛生法」によって,保健所は地域における精神保健行政の第一線機関であると位置づけられた。保健婦が精神障害者に対する援助を日常業務にとり入れていったのも,この法改正が契機になっている。ただしこの時期には,精神障害者を保健婦の援助対象とするのかといった議論のある中で,少数の保健婦が個別の援助を開始した経過がある。その後,多くの保健婦が精神障害者への援助を当然のことと受けとめて働きかけはじめたのは,昭和40年代の後半のことであった。
保健婦の援助も当初は,いかに精神障害者を治療ルートにのせるか,また,再入院を防ぐかといった内容であったと思う。しかし,治療ルートにのせるだけでなく,彼らの生活そのものまでみる中から,社会復帰に向けた援助の必要性が出てきた。つまり,地域における精神障害者へのデイケアは,保健婦が精神障害者への個別援助を行う中から,必然的に出てきたものともいえる。
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