特集 保健所での精神障害者デイケア
地域精神保健活動における保健所デイケアの位置と役割
田中 英樹
1
1神奈川県川崎市幸保健所
pp.595-600
発行日 1993年8月10日
Published Date 1993/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900730
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はじめに
精神障害者を対象とした保健所デイケアは,全国852保健所中759保健所で現在実施されており,平成5年度には806保健所(95%)と,ほとんど全国の保健所で実施をみようとしている。ここに至って保健所デイケアは日々の精神保健相談業務とともに,すっかり保健所精神保健業務に定着したと言える。しかし,問題がないわけではない。保健所デイケアを始めて10年もすると,どこの保健所でもメンバーの固定化やプログラムのマンネリ化が指摘されだし,デイケアの効果や評価が議論されるようになってきた。
たしかに保健所デイケアが最も早く開始されだした昭和50年前後の時代は,精神病院を退院した患者が地域で集い憩う「場」は保健所デイケアしかなく,それがたとえ週1回や月2回程度の開催ではあっても「彼らにとって初めて自分の意志で参加するところ」1)として,それなりの存在価値は大きかった。しかし,今日保健所デイケアは明らかにその役割を相対的に低下させてきている。
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