連載 ほんとの出会い・45
布の手触り 四季のうつろい
岡田 真紀
pp.1058
発行日 2009年12月15日
Published Date 2009/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101497
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中野区の沼袋に瀟洒な着物屋さんがある。しかし,そこで着物を買うわけではない。むしろ音を楽しみに行くことが多い。着物の展示をするスペースに小さな舞台がしつらえてあり,チェンバロと能管という思いもかけない組み合わせの妙や,グランドピアノを運び込んでウィーンのテナーが美声を聞かせてくれる。そうした響きが木造の和の空間を満たし,心も体もひとときの贅沢に酔いしれる。
いつか着物を着る生活をしてみたいと思いながらも,夢で終わりそうなワサワサした日常だが,たまにこちらでの展示会で美しい織りや染めを見て,目の保養,心の保養をさせていただく。「見ていただくだけでいいんですよ」とおっしゃってくださった店主の言葉に甘えて。
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