連載 保健婦はおもしろい
大切なのは仕事の中で学ぶ気持ち
助村 妙
1
1高知県中村保健所
pp.412
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900241
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私は,今,人口2000人,無医地区の2つある僻地の橋上地区というところに駐在しています。保健婦になって22年になりますが,地域の人たちから喜んでもらった感激が,私の活動源の1つになっているように思います。
1つの家庭とのかかわりを御紹介します。この家庭は,70代の両親と40代の息子2人の4人家族です。母親は事故で右足を切断し,義足をつけての体で,父親とともに農業をしています。父親は,2年前集団検診で肺癌が発見されましたが,今は元気に暮らしています。発見当時,精密検査を受けてもらったところ,診断した医師から,「肺癌の初期と思います」「本人は,通院ならするが,稲の手入れが忙しいからとサッサと帰ってしまいました。入院治療をすすめて下さい」と連絡がありました。早速訪問してみると本人は,「この忙しい時に入院できるか」と妻を怒っていましたが,妻ともども,いろいろ話し合っているうちに「入院する」と言い出し,その場で病院に電話連絡し,翌日入院したのです。息子たちも,兄は精神科に入院中,弟は通院治療中という状態のため,いつまでも元気でいてほしい両親なのです。
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