特集 難病患者・家族への地域ケア
難病専門病院の訪問看護と地域の在宅ケアの連携
近藤 紀子
1
1東京都立神経病院
pp.1113-1117
発行日 1990年12月10日
Published Date 1990/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900167
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はじめに
慢性的に進行し,その療養期間が長期に及ぶ神経難病の専門病院では,診断確定,治療方針の決定,病状の増悪期あるいは感染症などで,在宅での治療が困難な時期には入院治療を,病状の安定期には,在宅医療を提供している。安定期といっても,重度の身体障害を伴うことが多い。そのため在宅での医療・看護の体制を入院時と同じように準備することが必要な場合は,病院から少なくとも週1回の往診と,週2回の訪問看護(入院時24時間×7日=168時間に比べ,3時間×3日=9時間で1/18にも満たない)を確保するように努めている。
家族は痰の喀出のため,ネブライザーや吸引など,生命維持のため欠くことのできない医療的処置をはじめ,コミュニケーションにも時間がかかるうえに,食事,排泄,移動,その他生活全般に全面介助を必要とする患者の世話をし,更に掃除・洗濯・買物・調理などの家事(病院なら家政・栄養課が分担)のほか,育児,教育,冠婚葬祭,近隣社会との付き合いもしなければならない。そのうえ重症例では,夜間に体位交換,吸引が必要で睡眠時間も分断され,寝る間もないようになる。
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