調査・報告
地域における在宅未熟児のケアにかかわる保健スタッフの役割
岩井 香
1
,
青木 徹
2
1埼玉県立衛生短期大学
2大宮小児保健センター
pp.500-505
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207761
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はじめに
近年,周産期医療の目ざましい進歩によって,多くの超未熟児や極小未熟児が救命されるようになった。そして入院期間も短縮され,比較的に体重の少ない2,500g前後の児が,家庭に戻ってくる。そのため,母親は,退院してくる小さい乳児をどう取り扱ったら良いのか,どう育てたら良いのかを心配することが少なくない。
そこで,低出生体重児を迎える地域の保健医療スタッフの援助活動について,調査したので報告する。調査対象地区における現在の低出生体重児の把握は,ほとんどが人口動態個票によるものと養育医療申請によるものである。母子健康手帳の最終ページに「低出生体重児が生まれたら,最寄りの保健所に出して下さい」と,ただし書きのある葉書がついているが,ほとんど活用されていない。その理由として,母親学級などにおける呼びかけが不足していること,出す宛先が記入されていないこと,出してもなかなか訪問に来てくれないことへの不満,また里帰り分娩で自宅にはしばらく帰らないなどの理由があげられる。葉書が届かなかったり,遅いため,地区を担当する保健婦や助産婦などの保健スタッフに把握される時期が遅くなってしまうことが多い。地区を担当する保健スタッフが,小さい乳児を抱えた不安の大きい母親をもっと早く把握し,不安や心配を解決するためにはどうしたら良いのか考察する。
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