連載 島根県の重点地区活動—地域がどよめき,芽吹く・31(最終回)
島根県における重点地区活動の総括と総合保健活動への展望
山根 洋右
1
1島根医科大学環境保健医学
pp.317-324
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207728
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はじめに
島根県における重点地区活動は,多くの問題を抱えながらも総合保健活動へむけて歩を進めている。異なる歴史を持ち,異なる個性を持ち,異なる生活を持つ地域が,上からおろされた行政指導や指示によるのではなく,何よりもそこに住む住民自身の意志によって,また,ひとにぎりの意識したスタッフの活動ではなく,住民と自治体に働く人達の裾野の広い共同作業として,住民のくらしに内在する「人間らしく生きたい」という願いと力に依拠しながら健康づくり運動を進めてきた。しかし,社会福祉・社会保障の後退,地域社会と住民意識の変化,公衆衛生活動の再編成,国の地域保健医療計画や県の中期保健計画にみられる行政指導などの影響に加え,重点地区活動に対するいろいろな疑問ともあいまって,貴重な足跡を残しつつも,あらたに整理・総括しなければならない課題もいくつか出ている。
本来は,県下全域にわたり重点地区活動を点検,評価,総括しなければ,次の発展は望めないが,本連載を終了するに当たり編集委員会として問題提起の意味も含めて重点地区活動の総括を試みた。
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