連載 重点地区活動—地域がどよめき,芽吹く・17
出雲保健所の重点地区活動
大西 浩人
1
,
岸本 泰子
1
1島根県出雲保健所
pp.81-87
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207471
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1.はじめに
なだらかな山陰海岸から突出している島根半島は,大昔は島であった。やがて斐伊川の運ぶ砂が堆積して島は本土につながり,宍道湖と国引き神話が残った。この川の河口付近一帯600km2,人口17万の地域が出雲保健所管内である。斐伊川が中国山地を抜け出ようとする斐川町阿宮(あぐ)地区で,町の若い2人の保健婦が堤防に倒れて泣いていた。それは昭和53年のことである。
そのころまで約20年も斐川町と出雲保健所は住民検診に共同で取り組んできていた。高血圧教室なども各地区で開いていた。しかし住民の生活は一向に改善されず,活動のあとには何も残っていなかった。出雲保健所のスタッフの間には「これまでのような広く浅い活動ではなく,地区組織活動に取り組んでみよう」という意見が生れていた。そこで斐川町と共同で阿宮地区を対象に選び,昭和52年から地区組織活動を始めたのである。
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