特集 結核—治療の進歩と保健活動
地域における肺機能障害者への支援
石井 英子
1
1名古屋市千種保健所
pp.988-994
発行日 1988年11月10日
Published Date 1988/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207638
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はじめに
結核およびその他の感染症で死亡する人々は,医学の進歩の結果激減してきた。一方,結核の後遺症として,肺機能障害を残しながら結核は治ったが,現在日常生活動を著しく制限される状況にある人々が増えてきた。昭和20年,30年代に発病し,慢性化した結核患者は,硬化性病変や胸成による加療変形から,息切れ,咳などの呼吸器症状で苦しみながら療養につとめている。これら肺機能障害をもつ人々は,かぜ,疲れをきっかけとして,呼吸不全をおこし,急性増悪期には,入院治療を必要とし,短期間に入退院の繰り返しを余儀なくされている。
千種保健所では,昭和52年に結核既往のある人が吸吸不全をおこし,緊急入院をして一命をとりとめた事例,急性増悪に陥り,手遅れになり死亡する事例,それら相反する2事例に出会ったのを契機に,肺結核後遺症による肺機能障害者の実態把握につとめた。その結果,昭和55年から,結核の後遺症をもつと思われる人々を対象に,健康管理のための知識の普及を図ることを目的とした呼吸器教室を開催し,現在も継続されている。
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