研究ノート
肺機能障害者の生活実態調査
石井 英子
1,2
,
笹野 英子
2
Hideko ISHII
1,2
,
Eiko SASANO
2
1名古屋市教育委員会
2名古屋市千種保健所
pp.112-115
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900279
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◆はじめに
近年,わが国では結核およびその他の感染症で死亡する人々は,医学の進歩と栄養状態の改善等により激減してきた.一方,結核は治ったが,結核の後遺症として肺機能障害を残しながら,現在日常生活活動を著しく制限される状況にある人が増えてきた.昭和20年,30年代に発病し,慢性化した結核患者は,硬化性病変・胸郭手術による変形等からくる息切れ,咳などの呼吸器症状で苦しみながら療養につとめている.これら肺機能障害を持つ人々は,風邪,疲れをきっかけとして,呼吸不全を起こし,急性増悪期には入院治療を必要とし,短期間に入院の繰り返しを余儀なくされている.
千種保健所では,昭和52年に結核既往のある人が呼吸不全を起こし,緊急入院をして一命をとりとめた事例や,急性増悪に陥り手遅れになり死亡した事例1)を把握したことを契機に,肺結核後遺症による慢性呼吸不全者(以下「肺機能障害者」という)の実態把握2)に努めた.その結果,昭和55年から結核の後遺症を持つと思われる人々を対象に,呼吸不全予防を目的に呼吸器教室を開催し,現在も継続して実施している3).
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