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―高崎絹子・野川とも江編著―「呆け老人と家族を支える看護—地域での援助事例から」
津村 智恵子
1
,
高崎 絹子
2
1大阪府立公衆衛生専門学校
2埼玉県立衛生短期大学
pp.948-949
発行日 1988年10月10日
Published Date 1988/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207629
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在宅痴呆性老人看護100例の実践記録に学ぼう!
昭和100年(2025年)のわが国の痴呆性老人は現在の3.4倍,すなわち約40年間で222万人に増加し,そのうち80歳以上が占める割合は68.3%と,痴呆老人の高齢化現象に一層拍車がかかることを先頃,日本大学人口研究所は予告していた。この予告は,裏を返せば,痴呆性老人を抱える家族の一層の増加と,介護負担の高さを関係者に警告している。
痴呆への対処技術はまだ未確立で,痴呆は悪化の途をたどるばかりで,援助効果が期待できないということから,地域で働く看護職が,痴呆老人への援助をこれ以上放置することは,介護家族を追いつめ,痴呆老人を抱える家庭を崩壊させ,深刻な社会問題への引き金になることは明らかである。痴呆老人への看護援助をためらいいま一つ,踏みだせないでいる看護職の皆さんに本書を読まれることを是非おすすめしたい。
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