特集 痴呆性老人のケア
呆け老人のケアと地域の看護職の役割
高崎 絹子
1
Kinuko TAKASAKI
1
1埼玉県立衛生短期大学
pp.374-380
発行日 1983年6月15日
Published Date 1983/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206712
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■老人保健法と地域の看護職
老人保健法成立によって,従来の保健医療制度全体の,根本的な見直しを迫られることになったがそれは地域における看護活動の変革と転換を求められることでもあった.伝統的な公衆衛生看護活動の公式は,慢性疾患や老人には通用しない場合が多く,看護職に求められている役割も,より複雑になり,より多様化しているからである.
しかし経済不況のさなか,受け入れ体制が不十分なまま,病院から在宅へと方針が変ることは,老人とその家族,および地域の保健担当者の間に混乱を招くのは必至であった.地域の看護職(その殆どが保健婦)の同法の受け止め方は二通りに分けられる.ひとつはまず寝たきり老人の調査などを実施して対策を考える行動派,他は今しばらく様子をみるという静観派である.しかし,いずれにしても法の施行は他の関連部門を含めて,保健婦をその渦中に巻き込むことになるであろう.
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