書評
事例を用いてリアルに解説—「家族の病」を読んで
高橋 美智
1
1日本看護協会看護研修センター
pp.260
発行日 1988年3月10日
Published Date 1988/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207507
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本書は時宜を得た発刊で,「家族の病」を診る方々にとどまらず,広く保健,医療,福祉,教育などに関する活動に従事する人々に一読を薦めたい内容をもった書物である。
本書は,冒頭に編者らによる共同討議"「家族の病」を診る"を収録し,次いで序章:臨床から見た家族の問題,1章:家族とは,2章:家族サイクルと病,3章:家族病,4章:家族構成からくる病,5章:家族の性,6章:地縁・血縁と病,7章:カルチャー・ショックと病,8章:時代を表す家族の病,9章:家族療法,以上をもって構成されている。各章でとりあげられているのは,シンデレラ・コンプレックス,ピーターパン・シンドローム,マタニティ・ブルー,エージレス・シンドローム,登校拒否家族,アノレキシアの家族,嫁姑,ジェンダー・セックス,地縁・血縁の病,カルチャー・ショック,ホテル家族等々,すでに社会の中で話題となり注目を集めている現象,まだそれほどまでには関心がもたれていないが,真剣に考えてみなければならないと思われる現象など,50項にもおよぶ。内容的には,執筆,編集にあたられているのが,「家族の病」を,それぞれに多様なケースにふれながら診ている気鋭の専門家の方々であるため,ケース事例を用いて現象の様相が読者に大変リアルに伝わるように解説がなされている。
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