特集 のばすべきコミュニケーション能力とは
システム思考を用いた患者・家族とのコミュニケーション
井上 玲子
1
1東海大学医学部看護学科
pp.22-27
発行日 2020年1月25日
Published Date 2020/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201401
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看護の場に応じた患者・家族とのコミュニケーション
これまでの看護基礎教育は、病院志向の教育を、臨床の視点で、ほとんどの看護学領域が行ってきました。しかし本来、看護の対象である患者は、健康・不健康を問わず地域で暮らす人々です。患者の健康な生活を支えるという点においては、教育が十分でなかったといっても過言ではないでしょう。さらに近年の人口構造・疾病構造の変化は、人々が健康障害をもったときに行く先を、病院だけではなく施設・在宅などへと転換させました。日常生活圏すべてを包括したさまざまな場所が療養環境となり、利用者が「場」を選択する時代になったのです。つまり、これからの看護は、病院のみならず健康支援サービスを提供する「場」が地域のなかにあることを大前提として考えていくことが必要となります。
その一方で、人は健康を損なえば病院を訪れ、治療のために通院、入院を余儀なくされます。したがってこれからは、「場に応じた看護」を提供できること、健康障害の程度、療養環境に合わせて対応できること、そのような看護師を育成することが要求されるでしょう。
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