特集 「在宅老人への社会サポートシステム」
在宅福祉のあり方を探る—福祉=保健の連携の視点から
豊嶋 春美
1
1塩尻市社会福祉協議会
pp.122-129
発行日 1988年2月10日
Published Date 1988/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207481
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はじめに
21世紀には,人類史上かつて例をみない超高齢化社会がやってくる,といわれ,国をあげての対応にせまられている。私は現在,行政からの派遣職員として,ねたきり老人,痴呆性老人,虚弱な老人などを対象に仕事をしているので,21世紀を待たずしてドップリと高齢化の中に浸っている状態である。毎年,次年度事業計画を立て,予算要求をしてゆく段階で,スクラップする事業の有無が問題になるが,このところ入浴をはじめとする,在宅福祉サービスの要望は増加する一方で,介護を要する老人の対策は,質と量の充実を求められこそすれ,減らしたり廃止したりすることはなかなかむずかしいことになっている。寿命の延びたことは喜ばしいことだが,反面,要介護老人も増加してゆくことを頭に置いて仕事をしてゆく必要がある。
日本経済の高度の発展は,生命を長らえることには成功したが,幸せな老後を約束しているか?というと必ずしもそうではないように思う。核家族化による扶養意識の低下や,地域の連帯感の乏しさは,1人ぐらし老人の増加をまねき,家族がいても,適正な介護が受けられないでいる老人を数多く生みだしている。まさに文明のひずみである。
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