特集 医療の機能分化と連携
高齢者の在宅ケアにおける保健・医療・福祉の連携
大原 啓志
1
1高知医科大学公衆衛生学教室
pp.191-194
発行日 1995年3月15日
Published Date 1995/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901221
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はじめに
1993年度末をめどに,全国の市町村の老人保健福祉計画が策定された.この計画では,名称にも明らかなように医療は含まれていない.しかし,たとえば要援護老人の在宅ケアについて,現在あらためて医療を含めた三つの分野間の連携のあり方が問われていることはいうまでもない.
筆者が計画策定に関わりを持ったA市では,寝たきり老人数の推計のため医療機関入院中の高齢者の調査を行い,将来推計数のなかでの医療機関入院者の割合が論議の的となった.しかし,在宅サービスについては,「保健・医療・福祉の連携」のなかで「在宅医療の充実」の項を設け,医療機関相互の連携,かかりつけ医の確保,往診・訪問看護の拡大について簡単に触れたにとどまった.B町は,後にも述べるように,訪問サービスに関しては保健と福祉の一体化がすすみ,その窓口と医療機関との連絡がとられている.そこで,その連絡の充実,さらに病院・老人保健施設の入退院の情報交換の充実が計画に盛り込まれた.いずれにしても本来の意味での医療を含めた計画とはいえないが,在宅ケアにおける医療との連携のあり方を考える契機にはなったように思う.
保健・医療・福祉の連携を考えるという課題に対して,きわめて限られた分野における,しかも高知県内の限られた地域での高齢者保健福祉計画策定への関与と看護学生の十数カ市町村の地域実習のレポートからの印象からであるが,在宅ケアをめぐる連携について考えていることを述べる.
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