特集 地域保健をどうすすめるか—保健所長はこう主張する
保健・医療・福祉の連携
草野 文嗣
1
Fumitsugu KUSANO
1
1滋賀県長浜保健所
pp.689-693
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900894
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■はじめに
ここ10数年来,保健・医療・福祉の連携ということが頻繁に言われるようになってきた.事実,われわれの生活は,健康にかかわることに限らず,政治・経済・社会問題に関して,あらゆる事象が,世間の諸々の事柄と複雑にかつ有機的・組織的に連携し合っている.したがって,われわれの毎日の生活がより順調に過ごせるためには,これらの関係がよりスムーズに運ばれることが必要なことである.われわれに,一生を通じての健康な生活が保障されるためには,必要な人に,必要なものが,必要なときに,しかも過不足なく提供されることが最も望ましい.このことを,地域社会の組織的な努力・活動を通して実現するのが,公衆衛生の根本であると思われる.
連携ということが近年強調されると同時に,システム化とか,ネットワーク,さらに有機的・組織的ということが随所に見聞される.これらの言葉に接するとき,筆者は,われわれの身体のことがまっ先に頭に浮かぶ.われわれのこの身体こそ,まさしく組織的に連携の行き届いた,有機体ではなかろうか.目の前に物が飛んでくれば,瞼が閉まる.口に食物を入れれば,自然に唾液が出て,飲み込めば食道から胃腸に運ばれ,やがて排泄される.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.