特集 「保健婦の仕事/その原点を探る」
企業で働く保健婦の役割—科学的な裏づけのある指標づくりを
日野 ゆう子
1
1富士通健康管理センター
pp.30-37
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207462
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事業者と従業員の間にあって
産業保健の目的は,産業現場で働く従業員の安全と衛生を支援することにある。人の一生の中で労働生活を送る期間の占める割合は大きく,各ステージで変化するさまざまな問題をうまく消化し,人生設計を行う重要な期間である。社会生活においては,初めて社会人として就職し,仕事を覚え,責任を持って遂行し,先輩・同輩・後輩と協調し合い,チームの一員として業務を進めなければならないし,家庭生活では,経済的独立,結婚,子供の養育・教育,両親の扶養,老後の生活設計など,さまざまな節目を迎える。一方,身体機能の面から見れば,成長のピークを越え加齢現象に伴って衰えてくる機能も多く,したがって,生理的変化を素直にうけとめ,体力作りや疾病予防を考慮したライフスタイルの確立が必要となる。
産業保健婦は従業員のこのような背景をふまえ,個人の価値観や生き方を尊重しつつ,従業員自身が精神面,身体面,生活面などの相互のバランスを保ちながら,労働生活に適応してゆけるよう共に考えてゆく姿勢が大切である。
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