連載 呆け老人の地域ケアの方向を探る・6
保健所の老人精神衛生相談に来所した呆け老人の家族を援助して—埼玉県大宮保健所での1事例
籔内 ふく恵
1
,
井上 セツ子
1
,
尾島 ひさ子
1
,
五十嵐 康雄
1
1埼玉県大宮保健所
pp.699-705
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207368
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はじめに
呆け老人に対する援助においても,介護者を中心とした家族全体への支援が重要である。
老人と介護する家族との間の確執や葛藤が,呆け老人・家族援助をより複雑にすると言われる。本稿で取り上げるケースは,そうした家族の問題の特殊性をふまえて援助を行い,できる限り在宅ケアをもちこたえさせた例である。この援助経過を通して,介護の姿勢は呆け老人が発生した時からかたちづくられるものではなく,介護者のそれまでの生き方から生まれるものであり,援助の方針は,そうした老人と介護者を含む家族の一人一人の生き方を理解することから始まるということを学んだ。
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