連載 生活の場から看護を考える・5
食べる—食べさせる(5)―上手にのみ込む
北川 公子
1
1生活の場から看護を考える会
pp.380-381
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207321
- 有料閲覧
- 文献概要
通り道はスムーズか?
老人ホームや病院でこんな風景を見かけたことはないだろうか。ギャジアップしたベッドに背中がはまり,オーバーテーブルからやっと首だけ出した状態で食事をしていたり,仰向けで高い枕をしたままあごを引いて食べていたり……
座わって食べるにしろ寝て食べるにしろ,口から胃までの道のりを途中で不自然に曲げないことがスムーズにのみ込む原則になる。座位の場合,食事の途中で姿勢が傾いたりしないか,背中が伸びているか,首がすわっているか,腹部によけいな力がはいっていないか,首や肩や腕が緊張していないかを確認する。これらができない時には,むしろ臥位で食べた方がのみ込みやすいこともある。この場合,頭の位置が低すぎると食道が圧迫され気道が開くのでむせをおこしやすい。反対に高すぎるとあごを引くので口を十分に動かすことができない。枕は肩まで深く挿入し,食道の走行にそった姿勢を保ちたい。片麻痺があり臥位で食事をする場合は健側を下にする。こうすると食物は健側でかみ砕かれ,ひとまとめになりやすい。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.