調査
ねたきり老人実態調査を試みて—長崎市中央保健所管内におけるねたきり老人を通して
今村 晶子
1
,
元尾 ふさ子
1
,
辻 清美
1
,
中村 泰子
1
1長崎市中央保健所
pp.798-804
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207055
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1.はじめに
高齢化社会が進むにつれ,ねたきりの患者が更に増えると予想される。長崎市の老齢人口(65歳以上)は全人口の9.83%(昭59年)で全国の9.6%より高い。ねたきり老人は644名で老齢人口の1.5%を占める。それに伴って,保健婦の訪問活動には成人の占める割合が高くなってきており,全訪問に対する成人の訪問の割合は40%を占めている。また,ボケ老人の相談も出てきており,どのような支援を行ったらよいか模索中であった。そのような状況に対応して,保健所の保健婦の中に65歳以上の者を対象とする老人グループが新しく作られ,それまでにあった母子・成人・精神・障害児の4つのグループは再編成された。
昭和58年老人保健法の施行により,月1回のねたきり者の訪問が可能かどうかの疑問が出てきた。そこで,現在訪問が行われているねたきり者の実態を調査しようということになった。実践活動の中で,ねたきり者に接していると患者の回復意欲がもっとあればとか,家族や介護者が病気の回復に協力的であれば,もう少し環境が整っていればねたきりにならないですむのに……とばく然と感じることが多かった。私たちは,ねたきりを助長する原因があるものを『つくられたねたきり』とし,その原因として以下のものを予想した。
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