特別企画 在宅老人の機能回復を願って
在宅老人に対する理学療法の実際
伊藤 直栄
1
,
島田 孝
1
,
金子 誠喜
1
,
田村 美枝子
1
1国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院
pp.199-211
発行日 1982年3月10日
Published Date 1982/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206488
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はじめに
老化を防ぐ方法は現在のところない。それどころかわれわれの周囲には身体的老化を早めていると考えられる要素が多々ある。例えば乗物の発達による人間の脚力の減退,運動不足による心肺機能の減退,知能優先の社会的風潮による体育軽視などはだれもが認めているところである。体は使わないと衰えるということは高齢になるにしたがって強く感ずるといわれている。それは予備力の低下という点からも説明がつくと思われる。普通の健康人であれば,通常の生活においては持っている全体力の約20%を使用しているにすぎないともいわれており,残りの約80%は予備力として必要に応じて使われるのである。それゆえ,時々走ったり,大きな精神的ショックを受けたり,また少々の休養不足の状態に陥入ったとしても健康を損うことはないのである。それでは体力をどう維持したらよいのか,また目減りした体力をどう回復させたらよいのか述べ,最後に在宅老人訪問時の留意点にふれる。
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