巻頭言
理学療法と老人医療
大谷 清
1
1国立療養所村山病院整形外科
pp.459
発行日 1995年6月10日
Published Date 1995/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107873
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1993年のわが国の人口構成をみると65歳以上が総人口の13.5%に達した.WHOの定義では総人口の7%から14%までは高齢化社会と呼び,14%以上は高齢社会と呼ぶようだが,わが国はまもなく高齢社会に突入することになり,世界に類のない急速度で高齢化が進んでいる.当然ながら人口構成の変化は疾病構造にも大きな変化をもたらしてきた.言うまでもなく高齢者慢性疾患の増加である.私の専門領域である整形外科でも骨関節加齢性退行変性疾患が増加の一途を辿り,今や整形外科は退行変性疾患で代表されるまでに至った.
ところで,加齢性退行変性疾患の治療は高齢者が対象となるが故に,保存的治療,とりわけ理学療法が主体となる.牽引療法,温熱療法,運動療法,装具療法であり,これら理学療法の適応は医師自らの体験に委ねられるが,効果の確実性に欠けたり,その効果機序も明確でない面もあるが,いずれにしても理学療法は整形外科領域では第一選択として,特に脊椎退行変性疾患の治療には欠かせない.
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