特集 老人・成人をめぐる保健婦活動
研究
脳卒中後遺症患者の退院後の生活状況と介護者のかかわり方—ADLとの関係から
石川 由美子
1
,
斉藤 たい子
2
,
飯田 澄美子
3
1横須賀市立市民病院
2聖マリアンナ医科大学病院
3神奈川県立衛生短期大学
pp.903-917
発行日 1981年11月10日
Published Date 1981/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206431
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
要約
脳卒中後遺症患者20例について,退院後の生活状況と介護者のかかわり方からADLとの関係を見た。要約すると次の如くである。
1.退院後のADL低下率は25%であった。
2.療養環境とADLとの明確な関連は認められなかった。
3.合併症をもたない者にADL低下が多い傾向にあった。
4.入浴している者にADL上昇が有意に高かった。
5.機能訓練をしている者にADL上昇が高い傾向にあった。
6.1日のうち体を動かしている時間の多い者は,退院後ADL上昇率が有意に高かった。
7.機能回復をあきらめている者にADL低下が著明な有意差で見られた。
8.わずかでも介助を受けている者にADL低下が有意に高かった。
9.退院後,回復率の高い症例において,入浴動作,立位・応用動作がめだって上昇する動作項目であった。
10.退院後,回復率の低い症例において,食事動作,排泄動作は低下をきたしやすい動作項目であった。
11.入院中のADL上昇率の高い者は退院後のADL上昇率もかなり高くなるといえる。
本研究をまとめるにあたり,御協力いただいた病院関係者及び患者,家族の方々に深く感謝申し上げる。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.