特集 老人・成人をめぐる保健婦活動
研究
寝たきり老人の介護者に関する研究—4事例を対象にした介護者の持つ問題点
杉本 正子
1
,
飯田 澄美子
1
,
飯塚 美知子
2
,
姫野 典子
3
,
松原 久子
3
,
菊間 八重子
3
1神奈川県立衛生短大
2元神奈川県立衛生短大
3東京都目黒区碑文谷保健所
pp.890-902
発行日 1981年11月10日
Published Date 1981/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206430
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要約
4世帯の寝たきり老人の訪問活動を続けた結果,介護者のもつ問題点として以下のことが明らかになった。
1)介護老は疾病を有している者も見られたが,介護からくる疲労,睡眠不足,腰痛等の症状はほとんど認められなかった。
2)長い介護経過の中で,介護者はそれぞれ家庭事情に応じ,自分のペースで老人のケアをおこなっていた。また介護者は自分なりにケアの要点を体得しており,それは老人にとって安楽であるものが多かった。
3)介護者には自分が行っているケアに対して変更あるいは改善していこうとする柔軟な考えは認められなかった。訪問者が介護者のケアを認め,受入れることにより,徐々に介護者は種々の悩みを打明け,相談を求めてきた。
4)介護者の生活は老人のケアが中心に計画され,1年のうちの1日も自由になる時をもっていなかった。また老人の身心の状態の変化が介護者に影響を及ぼし,この時期に特に介護者に精神面での支えが必要であった。
5)介護者が疾病や過労で寝こんだ場合,他に介護老に協力できる人を用意している家庭はなく,老人の在宅療養は介護者1人のみに支えられている状態であった。
終わりに臨み,寿岡公子碑文谷保健所長をはじめ保健婦の皆様に厚く御礼申し上げます。
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