連載 スコットランド・デンマークのNHS・3
エディンバラの肝っ玉かあさん
山崎 摩郁
1
1新宿区立区民健康センター
pp.798-799
発行日 1981年9月10日
Published Date 1981/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206416
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ユニオンジャックの深い味わいのマリン-ブルーを想い浮かべてみて下さい。それは,イギリスのディストリクト-ナースDistrict Nurse(訪問看護婦)のユニホームの色。ヘルス-ビジターHealth Visitor(保健婦)がみな,ラフな普段着で勤務しているのと対称的に,彼女たちはカチットした仕立てのワンピースと同じ色の小さな帽子。手には,黒い皮かばんを持って颯爽と訪問に出かける。そして多くの場合,小さな車を自分で運転しているのが特徴。
さて,クーンズバーグ先生のオフィスに出入りしているディストリクト-ナースのクラークさんとブラウンさんにお目にかかることができた。午後2時,あわただしくオフィスにやって来た2人は,しかしベテランの落着きと優しさで迎えてくれ,家庭訪問に伴ってくれた。シスターのクラークさんは,金髪の若々しい美人。ここでのディストリクト-ナースの働きと役割を説明してくれたのだが,早口のうえスコットランドなまりの英語で,よく聞きとれない。汗をかきながら何度も私が問い返すのを,側で静かに聞いていたブラウンさんが「あなたの言いたいのはこういうことではないのか……」と再三,助け舟を出してくれる。日本風に言えば,肝っ玉かあさんタイプ。
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