発言席
保健婦さん手をさしのべてください
高見 国生
1
1呆け老人をかかえる家族の会
pp.329
発行日 1981年5月10日
Published Date 1981/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206369
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「原因によっては,手術でなおる場合もありますから,一応検査をしてみましょう。」と病院で言われて,CTスキャンなどの検査をしてもらいましたが,「やはり脳の萎縮からきているもので,なおる見込みはありません。お世話してあげるしかないでしょう。」と言われたのが2年半ほど前。その直後,父が死亡して,生まれたばかりの長女をかかえ,共働きの私たち夫婦は途方にくれました。昼間,母をひとりでおいておくわけにはいきませんし,勤めから帰ってからも,こどもの世話と母の世話。どうしよう,どちらかが勤めをやめようか? しかし,子育てでも勤めをやめずにがんばろうとしているのですから,母の世話で退職の決意には至りません。かといって,簡単に「病院」に入れる気持にもなりません。いろいろ考えた結果,派出家政婦さんを頼むことにしました。
幸い,親切で頼りになる家政婦さんにあたって,日中は安心して勤めに出られることになりました。しかし,夕方帰宅して朝出勤するまでは,心も体も休まるときがありません。失禁の始末,火の気の注意,何でも食べてしまうことへの対策,朝起きればねまきはビリビリ,ふとんは綿が出されている……。
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