連載 活動の中から
保母さんと保健婦
吉田 幸永
1
1京都府日吉町
pp.990-991
発行日 1980年11月10日
Published Date 1980/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206318
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1980年6月○日,S保育所へ予防注射に行つた。保母さんの中では,保健婦と共に障害児のことでがんばっているT保母さんから「保健婦さんに,もの申さんならんことがある」と真正面からもの申された。「今年の4月に入所したI君,給食に時間がかかりすぎる。固形物を飲みこむのに時間がかかる。離乳期の指導どうしてはったん!」「特にそうしたことはなかった。育児グループでも普通に食べていた」と言った。が,よく考えてみると,I君の母親A子さんは,グループの中で他の仲間らが日頃のうっぷんを思いきり晴らせている時でも,エヘヘ,エヘヘと笑って自分の思いを出さなかったのが気にかかっていたが,特にI君に異常があるとは思わず今日に至っている。
T保母の指摘に私は一瞬ムッとした。そして,「I君の体に特に異常があるとは考えられない。問題は家庭,特に祖母に問題があるのではないか,母親のA子さんがI君のために,こうしようと思っても,それをさせない祖母がI君の発達をじゃましているのではないか」と言った。T保母は「大いにその点は感じられる」と言ったが,ムッとした私の思いは晴れず,原因をたしかめもせず,自分の責任を家庭の人間関係に転嫁した自分のずるさがこわくなり,数日考えこんでしまった。
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