特別寄稿
地域保健活動における助産婦の機能の再検討—PHCワーカーとしての役割を問う
瀬谷 美子
1
1神奈川県立衛生短大
pp.948-970
発行日 1980年11月10日
Published Date 1980/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206314
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要約
今回,長期間(19年間余)にわたり関わりを持った5事例の援助経過を通して,その内容と,看護部門の保健活動家(開業助産婦)のPHCチームの要員としての役割を検討した。その結果
(1) 業務の特性が対象者との相互関係を深めている部分があること
(2) 相談内容をみると,保健的内容であるが多岐にわたっており,必ずしも専門領域のみではないことから,対象者は保健(保育,教育も含めて)に関してささいなことでも簡単に聞くことのできる身近かな相談相手を求めていること。援助としては,他のPHCチーム要員及び医療関係機関への連絡,調整があること。
(3)動機づけ等一きっかけは専門性を持った保健活動家が与えることは必要であるが,以後は対象者自らの保健意識のレベルで各々保健行動がとれ,なお,自ら及び専門家以外の素人が相互の関係の中でケアを行うことができること。
(4)地域において共存の中で長期に関わりを持つことは,保健活動家にとって自己のケアの評価がでぎ,又対象者の個別性の理解のもとに個別的ケアが可能であること,対象者にとっては安心できる相談相手であったこと,等があげられる。
こうした関わりの結果,出産終了の時点で,その後の経過を追跡する必要のあった5事例が,好ましい児の成長と家族の健康が保たれている。
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