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ダウン症候群児をもつ親と助産婦,保健婦の役割の問題点
塩野 寛
1
1札幌医科大学法医学教室
pp.616-618
発行日 1980年8月10日
Published Date 1980/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206278
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医学の進歩に伴って,大奇形の外科的治療,抗生物質の発達などにより奇形症候群,染色体異常症候群の新生児・乳児死亡率が減少し,その結果として将来明らかに障害児となるべき子供が家庭のなかで母親を中心として育てられているケースがふえてきている。一方,社会では,障害児をもつ母親が育児ノイローゼにおちいり,子供を殺したり自分も自殺するあるいは子供を殺したと自首するという報道が,最近新聞紙上をにぎわせているのも事実である。診断はできても治療ができない染色体異常児を,両親のみで育児を行っていくのはあまりにも負担が重すぎ,医師やパラメディカルスタッフの協力がもう少しあったら,少なくとも子供を殺したり自殺をしなくともすむケースがあったものと考えられる。
障害児を育てている家庭特に母親に対するパラメディカルスタッフである助産婦,保健婦の適切な援助は,障害児をもつ母親への大きな支えとなるのである。
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