活動報告
都市周辺の新興団地における母子保健指導の一考察—核家族における心身障害児への援助を通して保健婦の役割を考察する
市田 美佐子
1
,
小幡 よし枝
2
,
尾村 美保
3
,
反町 妙子
4
,
佐竹 さた
5
,
竹本 良子
6
,
田中 治美
7
,
中野 則子
8
,
山田 富美子
9
,
山本 フジ代
10
1兵庫県伊丹保健所
2京都府井手保健所
3滋賀県大津保健所
4大阪府吹田保健所
5兵庫県立厚生専門学院
6奈良県奈良保健所
7兵庫県立総合衛生学院
8兵庫県健康課
9兵庫県西宮保健所
10和歌山県岩出保健所
pp.371-394
発行日 1980年5月10日
Published Date 1980/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206249
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
近年都市周辺のベッドタウンとしての新興団地が急激に増加している。団地生活者は,一般に地域社会との連帯感がうすく各家庭は互いに無関心で,隣近所との交流も少なく孤立した生活をいとなんでいる。家族形態をみても産業形態の変化,住宅事情,思想的な面も加わって核家族化がすすみ,特に新興団地では,その傾向が大である。
家庭生活においても夫の勤務先は遠く通勤に時間を要し,ただ休みに帰宅するという日々の中で主婦は家庭における主役であり,物理的,心理的負担も相当過重になっている。このような状況の中で妊娠を経過する主婦の不安の増大,育児上の種々の問題についても解決するための適切な相談相手に欠け,育児ノイローゼ,母子心中等がおこっている。子どもの数もだいたい2人が定着し,親,特に母親はわが子に過大の期待をかけるあまり,その養育態度も過保護が多い。反面母性意識のそう失からくる母親の蒸発,嬰児殺し等の問題もおこっている。婦人の就労からおこる流早死産,高齢出産,未熟児,心身障害児等の問題,鍵っ子などの子どもの養育上の問題をはらんでいる家族も少なくない。団地が建設された初期は出産率も高く,医療保健のニードも高い。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.