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団地の保健婦活動をどうするか
松浦 利次
1
1東京都田無保健所
pp.30-32
発行日 1963年12月10日
Published Date 1963/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202991
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■いわゆる「コンクリート」病への関心
――昭和のはじめ丸ビルができた当時「ビル病」ということばが流行したことがある.その後このことばは潜在してあまり注意されなくなったが,戦後のビル・ラッシュとともにふたたびまんえんし,高層アパートの急増とあいまって,いっそう深刻なコンクリート病の出現となった――.この「コンクリート病」というようないい方,これはジャーナリストがいい出したことばであって,この書き出しも3年ほどまえ,産経新聞が中心となって編集した「都会病」という本の冒頭の言である.ジャーナリストらしい感覚をもって,このいわゆる「悪名高いゲリラ部隊都会病」というものに,いろいろメスをあててみようということで,私も興味をもってよみ出したのであるが,このコンクリート病というものについて,――朝の9時から夕方の5時までを,主人はあついコンクリートのビルの中ですごす,まず普通のホワイトカラー族の代表的な姿であるが,その半日あるいは一定時間の後に,むやみにコーヒーをのみたくなってくる,ウィンドーをながめたくなって,街を散歩したくなる.その時彼にとっては,この騒音と埃に満ちた歩道も,いかにもすがすがしい遊歩道に感ぜられることであろう.こういう人はすでにりっぱなコンクリート病の素地をもっている--とこういうのである.
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