特集 在宅におけるケアの限界を考える
在宅ケアの限界—ねたきり老人訪問看護活動をめぐって
堀 美子
1
,
木村 和代
1
,
千原 博子
1
,
山下 典子
1
,
一色 素与
1
,
高木 政子
1
,
川崎 寿子
1
,
衛藤 良子
1
,
加藤 律子
1
,
山本 サエ子
1
,
福井 千鶴子
1
,
谷 美保
1
,
下村 久子
1
,
山下 美和子
1
,
二宮 洋子
1
,
久池井 暢
1
,
高柳 昌
1
,
大国 美智子
2
1大阪府藤井寺保健所
2近畿大学医学部公衆衛生学教室
pp.336-343
発行日 1980年5月10日
Published Date 1980/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206244
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I.まえがき
医療や福祉の分野において,在宅療養者の問題が注目されるようになってから,国をはじめそれぞれの地方自治体が独自の政策を展開してきている。老人が疾病に罹患した時もまた,入院治療や特別養護老人ホームへの収容が絶対的ではなく,場合によっては,むしろ在宅療養の方が望ましい形態であると強調され,ねたきり老人対策にみられるように在宅のまま医療を受けることも多い。その背景には,施設収容という治療形態に伴うさまざまな弊害に対する批判と同時に,"老人は,元来畳の上で家族のやさしい愛情にみまもられて療養することを好むものである"といった老人観がある。
しかしながら,現実問題としては,介護の問題をはじめ,経済上の問題や人間関係の問題などでゆきづまってくると,医療関係者や福祉関係者は,入院措置とか特別養護老人ホーム収容措置といった方法で処置し,それらに事例が落着くと,すべてが解決したかのような感じで胸をなでおろすことがありはしないだろうか。そしてまた一方では,どんなに入院や施設収容を望んでも,医療機関や施設側の条件で,どうしても受け入れられない場合もある。
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