連載 高齢化社会の福祉と医療を考える・9
「ねたきり老人」を考える[1]—ねたきり老人を探せ?!
木下 康仁
1
1立教大学社会学部
pp.496-499
発行日 1987年5月1日
Published Date 1987/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921719
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「ねたきり老人」とは?
昭和61年版厚生白書によると,昭和60年の時点で日本全国に約60万人のねたきり老人がおり,現在の出現率(厚生省は65歳以上の者の5%とみている)で推移するならば,15年後の昭和75年には100万人強,また老年人口割合がピークに達する35年後の昭和95年には190万人程度のねたきり老人が見込まれている.
現在ですら60万人ものねたきり老人がいて深刻な問題になっているのに,今後35年のうちにその数が3倍以上にもなるというのだから,これが大変な予測であることは間違いない.当然,いわゆる痴呆性老人も増加するはずであるし,このほか高齢化に伴う様々な問題を考え合わせると,私たちの社会が近い将来極めて大きな試練に直面することは否定しようがない.
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