基調講演
自治体再編成の動きと公衆衛生行政—市町村における保健衛生行政と保健センター問題
真田 是
1
1立命館大学
pp.888-896
発行日 1979年12月10日
Published Date 1979/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206182
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戦後自治体の民主化の歩み
戦後の日本を考える場合,二つの大きな画期がありました。その一つは戦後改革と一口にいわれている一連の憲法を中心にした立法制度の措置。これが自治体にも大きな出発点になったと思います。もう一つはそれから10年後の1955年からスタートした高度経済成長でありまして,この二つが戦後の自治体の歩みにも大きな影響を与えてきたと思います。
戦後改革の評価は大変難しくて,議論もまだ続いております。確かに戦前の日本を民主的に大きく変えるという要素が一面にあったと思います。しかし,他方占領体制の時期から,私達の考える民主化とは大分違う様子が出始めておりました。1947年の2・1ストの中止指令にみられたような占領政策の大きな転換が訪れてきました。これが後にいわれる"民主化の流産"の象徴的な事件になったと思います。これ以前にも,読売新聞の大争議とか,東宝の争議などが,実は今日流の言い方で言えば,かなり過酷な弾圧を受けました。いずれにしても,こういう両面を持った複雑な過程にありましたが,戦後改革というものを,私共日本及び日本人は経験いたしました。
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