連載 "プライマリー-ヘルス-ケア"を考える・2
世界におけるプライマリー-ヘルス-ケアの現状と問題点
丸地 信弘
1
,
松田 正己
1
1東大医学部保健管理
pp.843-849
発行日 1978年12月10日
Published Date 1978/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206062
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はじめに
著者らは本誌前号で"プライマリー-ヘルス-ケアの概念と国際的意義"を概説したが,それはWHO/UNICEF(世界保健機関/ユニセフ)のいうプライマリー-ヘルス-ケア(以下,PHCと略記)を国際的視野からその歴史・概念・最近の動向など紹介したものである1)。すなわち,"PHCは地域開発における人間生活の基本的ニード(BHNと略記)解決の一戦略であり,地域社会の自助努力により種々の地域参加を得て住民の日常的な保健医療問題に健康増進・予防・治療・社会復帰などサービス活動をする。この活動は,国の社会・経済開発や保健システムの必須部分として機能し,かつ関連部門と有機的協調を計ることが重視される。従って,住民組織や個人の積極的参加が強調され,必要に応じて保健専門職種でない地域保健ワーカーを新たに養成し,彼等が住民の健康を護る旗頭となることもある"。
PHCの具体的内容や方法は国情や地域によりことなるが,先進国・開発途上国(以下,途上国と略記)ともに以下の点をめざしている。①住民生活に必須な諸ナービスの統合(開発と保健,保健と福祉),②住民と保健サービスの結合(自助努力,地域参加),③保健サービスの効率化(紹介,照合システムの確立,保健マンパワーの役割の明確化と協力体制の確立)。このPHCの概念の根底には地域のヘルス-ニードの優先順位の明確化,保健活動の効果や資源の有限性に強い注意が払われている。
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