連載 PHNレーダー
昭和52年版・厚生白書—老齢者社会の入口に立つ社会保障
pp.60
発行日 1978年1月10日
Published Date 1978/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205941
- 有料閲覧
- 文献概要
昭和52年版厚生白書が発表された。"高齢者社会の入口に立つ社会保障"というサブタイトルをつけた今年の白書は,社会経済の変動――人口構造の急速な老齢化と経済の高度成長から減速成長への移行で,大きな曲がり角に立たされているわが国の社会保障を,欧米先進国のそれとの比較を試みることで,国際的な位置づけを行うとともに,将来の望ましい姿――国民の高負担による高福祉の実現を探ろうとしている。
厚生白書は例年どおり総論と各論(年次報告)から成っているが,国民に対するアピールは恒例により総論で行っている。第1章"社会保障の国際的動向とその背景"では,まず,わが国の社会保障給付費が40年代後半から急速に上昇,それまで6%前後で推移していた対国民所得比が,50年度には9.23%に達し,52年度はすでに11%に及んでいるものとみられ,その中身も,従来"医療費上位"といわれてきたものが,医療49%,現金(年金など)51%と逆転,欧米型を指向しているが,スウエーデン(30%),西ドイツ(25%)をはじめ欧米先進国の水準にはほど遠いと指摘している。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.