特集 乳幼児をめぐる保健婦活動
症例報告
フェニールケトン尿症の一例—保健婦の立場から
櫛山 みすづ
1
,
岩出 ツキノ
1
,
近藤 サダ
1
,
広岡 フサエ
1
,
渕脇 久子
1
,
川元 孝久
1
1鹿児島県大口保健所
pp.722-725
発行日 1976年11月10日
Published Date 1976/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205770
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1.はじめに
フェニールケトン尿症(以下PKUと略す)は,先天性代謝異常のうちで,治療法の確立された疾患の一つである。このPKUは,フェニールアラニンを分解する酵素,すなわち"フェニールアラニン水酸化酵素"の活性の低下あるいは欠除により,フェニールアラニンからチロシンの形成が正常におこなわれないので,フェニールアラニンおよびその誘導体が体内に蓄積(異常増加)され,皮膚の色が白くなったり,毛髪が赤くなったり,知能の発達が遅れたり……などの症状を呈する。しかしこのPKUは,早期に治療を始めることにより,そのような精神的,身体的発育障害を予防できる疾患であり,医学的治療法が確立されていない"精神薄弱"を伴う疾患群の中では,特異な存在である。私達は,大口保健所管内でフェニールケトン尿症の患児に接する機会を得たので,保健婦の立場からここにケースを紹介する。
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