母性保健特集 1.その総論
乳児死亡と母性保健
船川 幡夫
1
1国立公衆衛生院
pp.24-27
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202486
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最近の生活状態の安定と一般衛生環境の改善につれて乳幼児の健康状態も著しく向上してきた.このことは,近年の乳児死亡率などの目覚しい低下傾向をみても明らかである.しかし,ここで考えておかなければならないことは,乳児についての死亡は,確かに減少したが,果して病気そのものとか,ひろい意味での不健康状態も減少し,改善されたのだろうかということである.
死亡ということは,人生の最大の悲惨事であり,保健指導の責任の一端をになっているすべてのものが,この防止のために最大の努力をしなければならないことは当然であるといえる.しかし,ただ乳児の死亡が減少したということだけでわれわれの目的が達せられたということはいえない.生とか,死という明らかに区別できる目安によっての評価は容易であるために,とかく,これだけが目にとまって,これによる評価結果だけにとどまってしまうきらいがある.
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