特別寄稿
「子どもの虐待防止センター」1年間の歩み
徳永 雅子
1,2
1世田谷区玉川保健所
2子どもの虐待防止センター
pp.133-137
発行日 1993年2月10日
Published Date 1993/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900647
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はじめに
子どもの虐待防止センター(Center for Child Abuse Prevention;CCAP)は,1991年5月18日発足記念シンポジウム「児童虐待—何が起こっているか,何ができるか」を機に,その歩みを始めて1年余が経過した。東京では虐待に関して,取り組みが始まったばかりだが,CCAPの設立によって保健婦も児童虐待を見る目が少し変わってきたのではないかと思う。筆者の体験で過去の事例を振り返ってみると,酒害相談に登場したアルコール家族の中に,愛情剥奪症候群に,児童虐待ケースが含まれていたことを思い出す。しかしながら,当時はこれを「虐待」として見る目もなく,専ら親のアルコール問題に集中し介入していた経験がある。自分でもこれまで「虐待」は特殊な家族の中で起こる特殊な問題として認識し,問題を取り上げる術を知らなかった。
1990年から児童虐待の研究会が始まり,そしてCCAP設立。これには地域の保健所の保健婦も関与していた。保健婦が関わっていたケースがきっかけで,児童虐待への取り組みが市民レベルで高まっていったということは,自分たちの活動を自負していいことではないかと思っている。
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