調査報告
高血圧の進展に影響を及ぼす生活環境の変遷—8年間の追跡調査成績より
嶋本 喬
1
,
小沢 秀樹
1
,
飯田 稔
1
,
高橋 弘
1
,
小西 正光
1
,
上島 弘嗣
1
,
小町 喜男
1
,
児島 三郎
2
1大阪府立成人病センター
2秋田県衛生科学研究所
pp.135-140
発行日 1974年2月10日
Published Date 1974/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205440
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はじめに
生活環境が高血圧,動脈硬化の進展に著しい影響を及ぼすことはよく知られている。われわれはこれまで,地域・職域を異にする秋田・大阪の一般住民,事業所従業員,自由業者など6集団について,循環器検診の諸成績,および脳卒中,狭心症,心筋硬塞の発生率を比較し,生活環境の相違がもたらす高血圧,動脈硬化の質的差異を明らかにすることに努めた1)2)。
その結果,わが国の現状では,都市,農村を問わず一般の人々の高血圧,動脈硬化には,肥満,高コレステロール血症が著しい関与を示しているとは考えられず,むしろ,一般の人々では多少肥満に傾き,ある程度は血清コレステロール値も上昇するような生活を営むことが,高血圧,動脈硬化の進展を抑制し,脳卒中発作の減少につながるであろうと推論した。
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