研究ノート
長期にわたる疫学調査成績からみた循環器疾患の動向
谷垣 正人
1
,
飯田 稔
1
,
嶋本 喬
2
,
小町 喜男
3
,
内藤 義彦
1
,
土屋 寛泰
1
,
佐藤 眞一
1
,
木山 昌彦
1
,
北村 明彦
1
,
磯 博康
2
,
山海 知子
2
Masato TANIGAKI
1
,
Minoru IIDA
1
,
Takashi SHIMAMOTO
2
,
Yoshio KOMACHI
3
1大阪府立成人病センター
2筑波大学社会医学系
3大阪府立公衆衛生研究所
pp.507-512
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900616
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●はじめに
われわれは20数年前から秋田,大阪などの地域・職域を異にする集団で循環器疾患の疫学調査を続け,在来の農村型の集団では脳卒中が多く,都市の集団では脳卒中も虚血性心疾患も少なく,そして,大企業の管理職などのように都市化が進み過ぎた集団では虚血性心疾患が多いこと,したがって,循環器疾患は生活環境の影響を強く受け,ある程度の生活環境の都市化は脳卒中と虚血性心疾患の両方を少なくするために望ましい,ということを明らかにしてきた1).
ところが日本は,この数十年間に著しい経済成長を遂げ,日本人の生活環境は全体として,在来の農村型から都市型のほうへ大きくシフトした.この結果,前述した各集団の循環器疾患がどう変化したかを追跡することは,現在もなお都市化が進行中の日本全体の循環器疾患対策のあり方を考える上で,極めて重要と考える.
そこでこの報告では,前述した秋田,大阪の集団の,その後の脳卒中と心筋梗塞の動向および循環器検診所見の推移を検討することにより,生活環境の変化が循環器疾患に及ぼした影響を明らかにするとともに,そのことを通じて,今後の循環器疾患対策のあり方を考えたい.
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