苦言辛言
頼るのは医療従事者のいたわり
高橋 典子
1
1人工肛門保有者の同憂者の会"互療会"
pp.638-639
発行日 1973年9月10日
Published Date 1973/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205348
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ストマをもって8年
私が直腸ガンの手術を受け,左腹部に便の排泄孔(ストマ)をもつ身になって8年あまりになる。最初の人工肛門造設の手術の後の10か月間に腸閉塞,腹膜炎そして右側の蜂窩織炎と4回の手術を受けたが,左側の人工肛門だけになって退院した私は,暗中模索の状態で,参考にする本も質問する人も近くに見あたらず,それはそれは不安な毎日を送っていた。入院中医師からは,ストマをもつ身になってからの毎日のことについてはなんの話もなく,今に慣れるからということだけだった。幸い米国の友人からアメリカの各町には人工肛門保有者の会(オストミイ協会)があることを知らされさっそく入会した。毎月送られてくる会報には,医師またはオストミイ関係のセラピストの講演や,食物,器具についてのヒント—たとえば,軟便気味のときはマシマロを食べるとよいとか,卵を食べた後はガスの臭いをとるためにパセリやオレンジジュースをとるとよいとか—が載っており,徐々に私は元気づけられていった。
日本の同憂者の会のことをある医師に尋ねたところ「よけいなことを知って心配するだけだから,そういう会はないほうがよいと思う」と言われた。その後"互療会"という同憂者の会があることを知り入会,以来術後間もない新会員が時間と労力の浪費をせずに,快適な日々を過ごせるよう微力ながらお力添えをしている。
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