起爆と原点・2
[第1話]いたわりのマキシム—[その1]
箙田 鶴子
pp.328-332
発行日 1980年5月25日
Published Date 1980/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663907445
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
その少女A子は,中国地方の半農の家に誕生した.年子の妹の出生と同時に彼女の母は死亡,0歳と満正年足らずの姉妹を抱えた父親は後妻を迎えたが,これが彼の兄嫁の妹だった.幼い姉妹の父親は,彼女を迎える前に2人のうち1人を養女に出すことを定め,授乳そのほかで0歳児は手離すことが至難故に,姉のほうを子のいない自分の弟夫婦へもらわせた.
A子が3歳のころ,もらわれた家に義弟が出生した.A子は,やや虚弱だが,以後も順調に育った.4歳何か月で庭石に転倒し,4,5か月後,痙攣発作を起こして倒れたのを第1回に,以後も時々発作を起こす.知能程度は余り劣らなかったが,小学校2年生の折鉄棒から落ち,発作が出,何日間か休学し,その後成績は中の下といったところで卒業真近となった.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.